木のはなし Vol.0
1994年6月、「のるすく通信」は始まりました。
お客様向けの手作り新聞だった「のるすく通信」。
その中から皆様に大変ご好評だった12種の木にまつわるお話を不定期にご紹介していきます。
北田の手書きデッサンも当時のまま再現しました。
あの頃をご存知の方もそうでない方も、ぜひお楽しみに!
(基本的に連載当時の表現そのままでお届けしていますが、
一部加筆修正されている部分があります)
‘94年6月20日発行「栗」より抜粋
不思議なもので、樹木と人の間には微妙な相性が存在していて、
木が好きであるという気持ちの奥底に、好みという感性によって分
類される、人とのつながりのようなものがある気がする。
木を選ぶ時、人は気づかぬうちに自然にそのつながりを見極めて、
どの板を所有するかを決定しているのかもしれない。
誰もが、自分自身が選んだ板を最高のものであると心から思える
のも、そんな不思議な相性と、偶然のように目に触れることができた
板との出会いがあったからではないだろうか。
これまで数々の板を、たくさんの人たちに受け渡してきた私の立場
からみると、時々木が人を選んでいるように思えてくることすらある。
人の一生の何倍も山の中で生きてきた彼らにとって、言葉は無くとも
意思を実現させることなど容易いことなのかも知れない。
そんな気すらしてしまう。
次回は「栗」より本文をご紹介します。